2011年10月22日土曜日

ニコンに続き…“王者”キヤノンもミラーレス参入!? 特許複数保有で臆測



デジタル一眼レフカメラから光学部品の一部を取り除いた「ミラーレス一眼」を光学機器メーカーや電機各社が相次いで発売する中、参入を見送っているキヤノンの動向に先行各社が神経をとがらせている。ニコンが20日に世界で同時発売し、国内だけの規格といわれてきたミラーレスは、海外でも需要が急拡大する可能性が浮上。デジカメのトップメーカー、キヤノンの戦略次第では収益に大きな影響をもたらしかねないからだ。

頭打ち市場下支え

 「THE STORY BEGINS(物語が始まる)」。キヤノンの北米法人は9月中旬、現地の一部メディアに「11月3日にハリウッドで『歴史的・世界的な発表』を行う」と予告した。発表の中身は伏せられたため、「ついにミラーレス参入か」「映画向けの4K(画素数がフルハイビジョンの4倍)カメラだ」「3年も更新されていないデジタル一眼レフの名機『イオス5D』の新モデルだ」などと、臆測が臆測を呼んだ。
 デジタル機器の需要が頭打ちとなっている国内で、デジカメ市場を下支えしているのは間違いなくミラーレスだ。2008年にパナソニックとオリンパスが新規格として共同で発表して以降、ソニーやサムスン、ペンタックスリコー(当時はHOYA)が製品を投入した。
市場調査会社BCNによると、国内のデジタル一眼市場に占めるミラーレスの比率(台数ベース)は4割を超えた。9月のコンパクトデジカメの平均単価が1万6300円にとどまったのに対し、ミラーレスは5万6000円と値崩れが少ない。しかも販売台数は前年同月比62%増の伸びを示し、各メーカーの新たな収益源となっている。
 コンパクトデジカメの販売台数が今年に入って前年割れを続ける中、「ミラーレスは一眼レフを購入するまでの『つなぎ』の規格」という見方も薄れてきた。一眼レフとミラーレスの両方を展開するソニーは「欧米や中国のユーザーは一眼レフのような大きなものに価値を見いだすが、日本や東南アジアはサイズが小さくて性能が良い製品への評価が高い」と分析する。
 市場動向を慎重に読みながら発売のタイミングを探っていたのが、キヤノンと一眼レフ市場を二分してきたニコンだ。20日に発売された「ニコン1(ワン)」の開発期間は足かけ6年にわたる。ニコンはレンズ交換式の「アドバンスト(進化版)カメラだ」とするものの、ミラーレス陣営に合流した形だ。
 高級コンパクトカメラ「X100」が写真愛好家から高い評価を得た富士フイルムも、「X」ブランドのひとつとして2012年1月にミラーレスの新製品を発表すると表明した。交換レンズも自社開発し「(一眼レフで最高画質の)35ミリフルサイズをしのぐ高画質機にする」(古森重隆社長)と鼻息は荒い。
後出しジャンケン

 キヤノンは、ミラーレスに参入するのかしないのか。同社の商品企画担当者は明言を避けたが、「一眼レフの購入を躊躇(ちゅうちょ)する人の理由は重い、大きい、価格が高い、扱いが難しそうという4つ。この垣根を下げたのがミラーレスで、ユーザーの底辺を広げている」と、ミラーレス人気を前向きにとらえている。
 同社の一眼レフ入門機「イオスKISS」シリーズは「小型・軽量・簡単」を武器に子供の成長を記録する“ママさん一眼”として売り込んでおり、ターゲットが重なるミラーレスで攻勢をかけても不思議ではない。
 しかも、キヤノンはミラーレス一眼関連の技術特許を複数保有。ミラーレスのように光学部品は取り払わず「独自のスタイルで一眼レフのさらなる小型化を模索している」との情報もある。キヤノンの「後出しジャンケン」の勝算はいかに。

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